礼文


あるいは過去に犯した罪への懺悔状


あなたは何時も一人で、ただじっと空を見つめていた
「私が守ってあげないと」とそう思った私は、なんと傲慢だったのだろうか
それでもあなたは、そんな私の傍に居てくれた
傍に居て、私に「守られて」いてくれた

私の傍にあなたが居て、あなたの傍には私がいて
それが当たり前の事だと思っていた
あの頃は幸せだった
だけど

ある日突然、周囲はあなたを攻撃し始めて
あなたは次第に私の傍から離れて行った
一人になったあなたは全てを拒絶していった
このままではあなたが傷つくと、今こそあなたを守らなくてはと
私は勝手に、あなたの盾になった
あなたの気持ちも知らないで

私は、結局あなたの盾にはなりきれなかった
あなたの前で、私は倒れてしまった
その時、私はやっと気がついた
あなたの強さを、やさしさを

私が強くいられるように、あなたは私に甘えていてくれた
私が一人にならないために、あなたは私の傍にいてくれた
私はただ、強くありたかっただけだった
そのために、あなたを利用していただけだった

あなたの為だといって、あなたの強さを否定して
私は強くなったと誤解していた

あなたはやさしいから、ずっと私の強がりに付き合ってくれていた
それが分かった時にはもう遅くて
あなたは傷だらけのまま、私の前から消えてしまった
私に何も言わせないまま

あれから、時が流れた今
あなたに伝えたい
優しい嘘と、強さの意味を、与えてくれてありがとう
あなたに貰ったものは一生忘れないから

この胸にのこる、温かな傷と共に
私はこれからを生きていきます 

謝罪文と同じ設定です
こちらも、「伝えたい」とはいっていますが本当に伝えるつもりはありませんね
これに出てくる「私」は謝罪文に出てくる「君」と同一人物です

2012/12/23 22:44

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